JOVAの主張

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我々は、海外から小選挙区も含むすべての国政選挙に参加できるよう望みます。また、登録や投票が海外の実情に沿うよう改正されることを要望します。
  1. 運動のきっかけ

  2. 選挙権は国民の基本的権利

  3. 平等原則、移住の自由

  4. 公職選挙法

  5. 国際規約と外国の在外投票制度

  6. 在外投票反対論

  7. 永住者と選挙権

  8. 技術的問題

  9. 日本へのメッセージ

運動のきっかけ

戦後50年を経過して日本の経済は目覚ましい発展を遂げました。経済の発展は我が国の国際化を促し、多くの企業や人々が海外へ出かけるようになってきました。外務省の統計によると現在海外に住む人々だけでも79万人と言われています。しかしこの数字は在留届けを出している人達の集計に過ぎません。実際には100万人かも知れないし150万人かも知れません。ニューヨークやロスアンゼルスなどの大都会には多くの人達が大使館や領事館に足を運ぶこともなく暮らしています。在外公館もこうした海外居住者の実態を把握する方法を持ち合わせていません。

今から約6年半前、1993年の12月に当地ロスアンゼルスでも「在外投票制度の確立」を求める運動がスタートしました。きっかけはその年の総選挙で細川政権が誕生し、旧来の55年体制が崩れて、人々に「もしかしたら日本の政治が変わるかも知れない」という期待を持たせたことにあります。

海外では以前にも、各地でこうした動きはありました。しかし、それまでは余り世間の注意をひくことはありませんでした。ところが、政治改革と民主化の気運が高まったこの時期に、一斉に世界各地で声が盛り上がり、お互いに連携を取り合って運動を進めるようになってきたのです。

選挙権は国民の基本的権利

選挙権はそもそも民主主義の根幹をなす国民の基本的権利です。全国民の声を国政に反映させるために全員が一堂に会して議論出来ればよいのですが、そうするわけにもいかないので夫々自分達の代表を選び、代表者が国会議員となって国政をつかさどります。

我が国の憲法にも「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」(第15条第1項)「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保証する」(同第3項)とあります。即ち、「選挙権」は日本国憲法に規定された国民の基本的人権です。日本国籍を有し、成年(満20歳以上)であることが唯一その条件です。

平等原則、移住の自由

また、憲法第14条は「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」(第1項)、第44条では「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」として国民には平等に与えられる権利であるとうたっています。そして第22条では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」(第1項)、「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない」(第2項)として海外に住む自由を認め、海外に住むことによって日本人としての権利が侵されることがないことを明示しています。

公職選挙法

ところが、実際の選挙方法については、上記の憲法第44条下線部分及び第47条「選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める」として「公職選挙法」に基づくことになっています。永年にわたり不当に海外在住者の権利が侵害されてきたのは、憲法にあるのではなく、公職選挙法に原因があったわけです。

選挙権行使の実際の手続きを規定する「公職選挙法」では、第9条第1項で「日本国民で年齢満20年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する」と定め、何等海外居住者に差別をしていません。にも拘わらず、98年4月に改正された公職選挙法でも、「当分の間」在外選挙は比例代表選挙のみと定めています。明らかに違憲状態が続いている訳で、海外有権者も、一日も早くすべての国政選挙に投票できるようにしなければなりません。それにより有権者の投票への意欲も高まるでしょう。

国際規約と外国の在外投票制度

一方、我が国も批准し、国内法的効力を有するとされる「世界人権宣言」第21条は、1)「すべての人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権利を有する。」、2)「すべての人は、自国においてひとしく公務につく権利を有する。」、3)「人民の意思は、統治の権力の基礎とならなければならない。この意思は、定期のかつ真正な選挙によって表明されなければならない。この選挙は、平等の普通選挙によるものでなければならず、また、秘密投票又はこれと同等の自由が保障される投票手続によって行われなければならない。」と規定し、第2条では、「--------すべての人がいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と事由を享有することができる」として平等原則を明らかにしています。同様に国際人権規約においても、第25条で同じことがことがうたわれています。

サミット参加国(イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本)、スイス、オランダ、スウェーデン、オーストラリア等の主要先進国中、在外自国民に選挙権の行使を認めない国は、日本とイタリアだけでした。今ではイタリアに並んで日本も制度が実現しましたが、一日も早くすべての国政に参加できることが求められています。

1993年、カンボジアで和平合意後初めての総選挙が実施されました。ニューヨークでも国連本部に投票所が設けられ、多くのカンボジア人達が母国の将来を決める選挙に一票を投じました。また、南アフリカ共和国初の全人種参加による選挙でも、アメリカでは4領事館と20以上の投票所で10万人以上が投票をしました。

在外自国民に投票させるのは、世界ではいまや常識になっているのです。

在外投票反対論

次に、在外投票制度に関する反対意見を紹介します。その第一は、
「海外居住者は日本を捨てて出ていったのだから、帰化してその国の国政にこそ参加するべきである。日本のことなどよく分からない者が、どうしてふさわしい人物を選べるだろうか。」
というものです。第二には、
「海外居住者は税金も納めていない。納税者でないものが権利のみ主張するのはおかしい。」
というものです。第三は、
「技術的に困難で、どうして海外在住者全員に選挙の告知を徹底させ、短期間に選挙用紙を配り投票を実施し、結果を間に合うように日本へ送れるか。選挙違反はどうやって取り締まることができるのか。」
という技術論です。

これらの反対論に対する私達の考えは次の通りです。

永住者と選挙権

第一の点は、以前、与党政治改革協議会がまとめた在外投票制度の試案に、「永住者は対象から外し、帰国の意思を有する者のみに限る。」という項目がありました。しかし、実際には一人一人の帰国意思を確かめることは困難です。永住権を持っている者は帰国の意思を有しないというのが判断基準として想定されているようですが、米国の永住権は現在アメリカに住み続ける者に与えられるビザの一種です。いろいろな事情で安定性のある永住権をビザとして取得している人も多くあり、この人達が必ずしも未来永劫に日本へは帰らないということにはなりません。まして、永住権の取得を以って国政参政の意思を放棄したことにはなりません。むしろ、日本国籍を保持しつづけている一事を以って日本の国政に参加する意思を有していると看做すことができます。永住権制度を持っている国は限られています。永住権制度のない国ではどのような判定基準があるのでしょう。

憲法では外国への移住を認め、その場合でも日本国籍を有する限り国内の日本人と同じ権利を認めています。「国政への参政権は国籍に基づき、地方参政権は住民に基づく」というのが世界の潮流です。今回の公職選挙法改正が永住者を含めて日本国籍を持つすべての海外居住者を対象としたことは評価してよいと思います。

納税と選挙権

第二の点は、納税と選挙権は別物だということです。明治の初め頃には、一定の納税額によって投票資格が与えられました。全国民に等しく選挙権を与えるためには、どれほど多くの先人達が血と汗を流したことでしょう。世界の多くの国々でも同じような歴史がありました。そしていま、平等な選挙権は民主主義の基本要件となっているのです。

また、日本は多くの国々と租税条約を結んでいます。米国居住者は、日本の所得も含めて全世界の所得を合算して税務申告をします。反対に日本に居住しているアメリカ人は、アメリカでの所得も含めて全世界の所得を合算して日本で税務申告をします。このように租税条約は互恵条約です。我々は租税条約を通じて間接的に日本政府に納税をしていることになるのです。

技術的問題

第三の点は、最近の交通・通信技術の発達を考える必要があります。いまや経済は国境を超え、人の行き来も情報もボーダレスの時代です。先にも述べたように、多くの国がすでに在外選挙制度を実施しています。

憲法に定められた全国民に平等な選挙権の実施は、いわば目的です。これを実施する規定の公職選挙法は手段です。肝心の目的を果たすためには、事情の大いに異なる外国では日本とは違った手段(規定)があってもよいのではないでしょうか。

現行制度は国内の制度に合わせて作っているので、地域的な広さや郵便事情、情報入手の難易度によって各地の投票時の困難度は違います。投票は民主主義下で政治参加の最も重要な行為です。投票という目的を達成するための手段である公職選挙法は、国内と海外では事情がぜんぜん違うのですから国内用と海外用と違っても投票し易いようにするべきだと思います。

そのためには、現行投票制度を次ぎのように改善するべきだと思います。@郵便投票と在外公館投票はどの公館でも併用できるようにすること、A郵便投票も在外公館で取りまとめ日本へ取り次ぐようにする、B本人確認は在外公館でもできるので郵便投票地区でも在外公館で投票用紙を発行できるようにして欲しい。C IT利用で在外公館から各選管のデータベースにアクセスできればかなりな部分在外公館で対応できると思います。Dインターネットのウェッブページは、自治省のウェッブページに選挙広報用のスペースを設け、各党に一定の公平なスペースを与える。そして選挙公示後といわず、日頃から各党の政策や実績をPRできるようにする。各党は与えられたスペースを如何に活用するかに工夫を凝らせばよい。自治省はこのウェッブページを投票の際の情報源ウェッブとして宣伝すればよい。そうすれば有権者は一党ごとのウェッブを渡り歩く手間が省けます。

日本へのメッセージ

最後に日本の皆様に次のようにメッセージを送りたいと思います。

大勢の日本人が海外に出ています。私達在留邦人は、日本政府の対応により日々のビジネスや生活に直接・間接に影響を受けています。そのため、国内に住んでいた時以上に日本の情勢や国際情勢に気を配っています。私達は海外にあって固唾を呑みながら祖国日本の動静に一喜一憂しています。物理的に海外に居ることにより、日本がより客観的に見えるということがあります。私達は外からみた日本を何とか国政の場に反映させたいのです。「日本は外から見るとこう見えますよ」「外国人は日本をこう見ていますよ」ということを伝えたいのです。真摯に国を憂うる海外70万の同胞を活用しない法はありません。早急に海外選挙制度を実現してください!これは海外在留邦人のみならず日本国にとって必要なことと信じます。

「Democracy is not a spectator sports. Vote! And don’t hide behind the excuse that one vote doesn’t count.」- マリアン・ライト・エーデルマン(キング牧師と共に公民権運動に携わった黒人女性活動家)の言葉です。私達は在外投票制度が一日も早く実現することを願っています。

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最終更新日: 2001/01/22